家を新築するとなると「庭だけは私にまかせてください」と言って、妙にいきいきと張り切っちゃう建築主がよくいるもので、これはとくに男性に多い。そう言われると、じゃお断りしますとは言えないので、かくして庭はしばしば設計者の管轄外になる。もちろん、それがかえって良い結果を生むこともあるのだが、これはちょっと困ったな、ということになる場合も少なくない。それはたいてい、建築主が和風の立派な庭というものに中途半端な憧れを持っている場合である。
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自分にまかせて、と言っても実際に仕事をするのは植木屋さんで、建築主は植木屋の主人にあれこれ指図するだけだが、これがこの趣味の人には実に楽しいらしいのですね。で、まあ、この場合も良い例外はあることを認めたうえ、言うのだが、だいたいにおいてこれは、ねじくれた松に笹の茂みとチマチマした石組を配して、田舎の料亭みたいな庭になっちゃう。日本人にはこういう庭こそ立派な、つまり“庭らしい庭”だと思いこんでいる人が多く、その固定観念の拡がりは実に深く広い。言いにくいことながら、これは植木屋も悪いのだ。